2012年05月10日

私の家族/両親と私

「産んでくれと頼んだ覚えはない!」。そう言った時の母の表情を、今もはっきりと覚えている。「誰のお陰で、飯が食えよんとおもっちょんのか!」という父の発言に、私は思わずこう叫んでしまった。怒りで真っ赤になった父の顔色とは対照的に、母の顔は青ざめていた。
 私は家族、特に父とあまり仲が良くない。父とは中学生の頃から、必要な時以外、ほとんど会話をしていない。父の容姿は、まさに純日本人といった体形だ。考え方は固く、そのくせ勝手横暴で、なにか考えに沿わないことがあれば、私に手をあげてくる。
 私はこれまで、二つの生活の中で生きてきた。一つは家での生活、もう一つは学校での生活だ。私は学校が大好きだ。家での生活を避けるように、中学、高校と出来る限り遅くまで、学校にいた。部活、生徒会、勉強。理由は違っていても、いつも学校を出る最後の組だった。
 学校の友人は私のことを良く知っていたし、学校で過ごす時間は、すべてが大切で素敵なものだった。学校にいる間は、家での生活を忘れていられる。私は長い間、家族と向き合うことから逃げていた。
 そんな私に転機がやってきた。両親と一緒に買い物に来ていた友人と出くわした時のことだ。友人がその両親に「ほら、この子が達哉だよ」と、わたしを紹介してくれたのだ。その時、私は友人が両親に見せる明るい笑顔を見た。友人が学校での出来事を、家で両親に話している様子は、その笑顔から容易に想像できた。私は友人の家族との関係をとても温かそうだと感じ、強く惹かれた。
 今、私は少しずつ両親との距離を縮めようとしている。バイトや学校が忙しいため、今も家のいる時間は短いが、あの友人のように、学校の話などから始めて、両親と会話していくつもりだ。



Posted by 芸短ネット演習 at 06:30│Comments(0)
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