2012年05月08日

私の家族/おじいちゃんっ子

 私はおじいちゃんっ子だ。小さい頃、両親が仕事で忙しく、毎日のように祖父の家に預けられた。そのせいもあって、私は祖父のことが大好きになった。祖父は私の行きたい場所があれば、どこにでも連れて行ってくれた。その頃の私にとって祖父と遊びに行く、ということは楽しみでしょうがなかった。
 いつの頃からだったか。そんな祖父の家に、めっきりと行かなくなった。別に嫌いになったわけではない。時間もないから別にいいや、という感じだった。私自身大きくなるにつれて、学校があったり、部活に参加したりしていて、なかなか時間が取れなくなっていた。年に1・2回会えるだけで十分と思っていた。
 そんな祖父が最近、パソコンを買った。使い慣れたワープロが壊れたらしい。その頃から、祖父からしょっちゅう電話がかかってくるようになった。内容はたいてい「パソコンの使い方がわからんけん、教えに来てくれんか?」というものだった。私は電話がかかる度、祖父に会いに行くが、そんなに時間のかかる作業ではないことが多い。
 祖父は私が家に行くと、とても喜んでくれた。「いつも悪いなぁ」。そう言って、毎回お土産にチョコレートを渡される。いかにも若い人が好みそうなもので、祖父には似ても似つかないものだ。私はそのチョコレートを見ると、祖父が私のために一生懸命選んでいる姿が目に浮かんだ。
 その時私は、「祖父は私に会いたいから、パソコンを理由に電話で呼び出すんだ」と思った。「会いに来てくれてありがとう」。そんな気持ちで毎回チョコレートをくれるんじゃないだろうか。そう考えると、なぜもっと早く祖父が会いたがっていることに気付かなかったんだろう、と自分を責めたくなった。
 それからは、時間がなくても、祖父に会いに行くことにした。今でも祖父が好きだ。これからも変わらない。今まで会いに行かなくてごめんね。これからは、いつでも会いに行くから、待っててね、おじいちゃん!



Posted by 芸短ネット演習 at 18:00│Comments(0)
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