2012年05月07日

私の家族/おかあさん

 私のお母さんは、可愛い。顔がいいだとか、スタイルがいいだとか、決して容姿がいい訳ではない。むしろ、そこら辺にいるおばちゃんたちと何ら変わりない。
 私はいままで、お母さんの素敵な部分なんて、考えたこともなかった。だが、ある晩のこと、お父さんとのやりとりを聞いて、私の中でお母さんのイメージが変わった。
 「ちょっと、あんた。一緒、外来て。」
 私の家は、シソを家庭栽培している。お母さんは何を言いたいのか考えたが、夕飯にそのシソを使うから、一緒にとりに来てほしいとのことだった。一人でとりに行けばいいのに。そう思った私だったが、窓から外を見てわかった。もう暗いから怖いんだ、きっと。「暗くて怖い」ということを言わずに、少し強がったまま言っていたのだろう。可愛い。思わず、私の中でその言葉が浮かんできた。
 そんなお母さんは、頑固で気が強い。言ったことをすぐ忘れるくせに、変なところの記憶力が凄まじい。所謂、粘っこい性格なのだ。私も似ているなあと、自分でもたまに思っていた。そこは似らんでいいわ、と思っていた。しかし、似ていて誇りに思うところもある。それは、社交的でいつもニコニコしているところだ。
 小さい頃、近所のスーパーへ行くお母さんに、よくついていっていた。買い物中、隣の人とよく話していたので、友達多いなあと思っていた。そんなことがしょっちゅうあるものだから、聞いてみた。「お母さん、今の人誰? 知り合い?」。すると、こう返ってきたのだ。「ううん、知らない人」。知らない人とそんなナチュラルに話せるものか、と今思うと、突っ込みたくなる。
 しかし、実際の私もそのようなのだそう。たしかに、プリクラを撮る順番を、知らない人とじゃんけんで決めたりする。それは周りから笑われた。
 そんな社交的なお母さんを見てきたから、似てきたのだろうか、はたまた遺伝子の仕業か。どちらにせよ、私のお母さんが"お母さん"でよかったことに変わりはない。



Posted by 芸短ネット演習 at 20:05│Comments(0)
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