2125077

芸短ネット演習

2012年07月12日 09:14

私は、幼稚園から小学校卒業まで習っていた、珠算・暗算が大嫌いだった。6級を過ぎた頃からやめたいと思っていた。でも、母はずっと「いつか無理矢理にでもさせられたことに感謝する時がくるけん。」と言って、中々やめさせてくれなかった。そんなことを言われても、意味が分からなかった。
 幼稚園生の時、無理矢理九九表を覚えさせられた。小学校2年生の冬休みなんてほとんどなくて、皆が遊んでいる中、1人でそろばんをはじいていた。平日も休日もそろばんが終わるまで遊ぶことなんてできなかった。そろばんができてなんの役に立つんだろう。計算なんて、そろばん習ってない子だってできるじゃん。褒められても全然嬉しくない。私以上の人なんて、そろばん教室にはいっぱいいる。すごくなんてない。辛いだけ。幼い私は、ずっとずっとそう思ってきた。
でも、今になってやっと、あの時、母が言っていた「いつか無理矢理にでもさせられたことに感謝する時がくるけん。」という言葉の意味が分かった気がする。
考えてみれば、祖母も祖父もいつも応援してくれた。合格する度、私の母に賞状をカラーコピーしてもらい、額縁に入れ、飾り、近所の人や親戚に自慢さえしていた。段を受験するのに1回2,700円かかっていたのに、途中から祖父が払ってくれるようになった。家事などで大変な母は、いつも私のそろばんに付き添って丸付けをしてくれた。父は、幼かった弟たちを連れて外で遊んであげていた。辛くて影で泣いていた時を忘れる程、感謝の気持ちでいっぱいになる。
昔は、感謝する時なんて一生こない。感謝なんてするもんか、とまで思っていた。でも今は、こんなにも感謝している。感謝することができるようになった自分、褒められると素直に嬉しいと思える自分、そろばんが少しでも好きになった自分、感謝してもしきれない程、たくさん協力してくれた皆に感動している。