私の携帯の受信BOXには、1通だけ、保護されたメールがある。
高校2年の夏、私は知り合ったばかりの同級生と付き合い始めた。最初は、どこ
のカップルとも同じように仲が良く、月日が経つにつれて、どこのカップルとも同
じようにケンカが増えていった。その中で一つだけ普通ではなかったもの、それは
私の半端でないネガティブさだった。よく言えば「物事を深く考えることができ
る」ということになりそうだが、恋愛面で、それがプラスに働くことはなかった。
私が主に悩んでいたことは、前の彼女の存在だった。私とその子はすべてが真逆
だった。彼氏から、「あいつは、そんなんじゃなかった」と言われだしてからは、
事あるごとに自分とその子を比べて、劣等感に浸っていた。明るいあの子、暗い
私。頭のいいあの子、頭の悪い私。ふわふわで茶色い髪、真っ黒な直毛。誰に相談
しても「考えすぎだって」と言われるばかりだった。
そんな日々が何日も続き、またいつものように、物思いにふけっていた。おもむ
ろに携帯を手に取り、一人の友達にメールを送った。内容はもちろん、恋愛につい
てだったのだが、私はなぜか、謝ってばかりだった。「こんなにネガティブでごめ
ん」、「こんなに性格悪くてごめん」。この頃の私は、すべて、自分が悪いと思う
ことしかできなくなっていた。
そして届いた1通のメール。これを読んで、私のなかで張り詰めていたものがプ
ツリと切れた。自分では決して見つけることのできなかった私の長所や、今まで否
定され続けてきた考えを優しく包み込んでくれる言葉が、長文にわたって、ちりば
められていた。私が今まで欲しかった言葉すべてが、そこにはあった。「うちに謝
らんで!ぶつけてくれた方が嬉しいけん!人間そんなに出来た人はおらんっちゃ!
あんま思いつめんな!」読み返すたびに救われた。
これが、1通だけ保護されたメール。携帯の中でも、私の頭の中でも、消えるこ
とはきっとない。
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