私の家族/なんてったってアイドル

芸短ネット演習

2012年05月09日 20:01

 私のお母さんは変人だ。お母さんの頭がどうなっているのか、よくわからない。
 自分がこの世で一番可愛い、美しいと、お母さんは思っている。よく聞く言葉が、「わたしって可愛いやんかあ!」。お願いだから、真顔で言わないで。
 私が「あの女優さん美人やなあ」と言うと、「わたしより?」「うん」。え、そんなに悲しい顔しないで。女優なのだから、顔立ちが整っているのは当たり前だ。勝てるわけがない。
 「嘘で」。そう言うと、お母さんはすぐに目を輝かせ、笑顔になる。意外と単純なのだ。
 それにしても、どこまで、自分が可愛いと思っているのか。たまに自分も美人だと思う女優さんが現れると、「わたしとキャラがかぶっているから嫌だ」と言う。「自分より美人やけん嫌なんやろ?」と、私は攻める。
 「…ふんっ」。勝った! 図星みたいだ。
 お母さんは楽観的な面もある。面白くて、楽しいことが大好きなのだ。だから、私が振り向くまで、ポーズをキメて待っていたり、ネタみたいなものをしたりして、毎日笑わせてくる。気にせず流そうと思っても、笑わずにはいられないのだ。
 今までで一番奇抜だったものは、皿回しだ。学校から帰ったら、お母さんが皿回しの練習をしていた。とても楽しそうに、披露することもない皿回しを練習する姿は、爆笑だった。
 最後に、お母さんの名言がある。「料理は化学の実験よ」。わたしには何を言っているのかわからない。お母さん曰く。「料理は調味料等の化学変化を考えて作っている」よくわからないけど、悔しいことにお母さんの手作り料理は、とても美味しい。味付けを真似しても、なにか違う。お母さんにしかできない味付けだ。美味しい料理の中でも、特にカレーが絶品なのだ。食いしん坊なお兄ちゃんも、お母さんのカレーが、一番のお気に入りだ。