私の家族/私のあこがれ
母は私のあこがれであり、目標だ。幼いころから、母のような人になりたかった。今でもそれは変わらない。
母と私は似ているらしい。顔立ちはもちろん、背格好や笑い方まで似ているという。外見だけなら、私は目標を達成できているわけである。しかし、私が母にあこがれたのは、もちろん外見ではない。
私が母にあこがれる理由の1つは、その心の強さだ。母は若くして私を産んだのだが、私が生まれた時には、もう祖父はいなかった。つまり、母の父親はいなかったのだ。そして、私が小学校3年生くらいのころ、私の祖母、母にとっての母親も亡くなった。葬式の日、母は声を殺して泣いていた。いつも明るく元気な母が、初めて私に見せた涙だった。そんな辛いことがありながら、それを表に出さず、私をここまで育て上げてくれた。いつも前向きで、弱音を吐かずに仕事や家事を頑張っていた母の心の強さに、私はあこがれたのだ。
母の優しさもあこがれた理由の1つだ。私が高校2年生のとき、所属していた吹奏楽部の大会でいい結果を残せなかったときがあった。悔しくて、涙が止まらなかった。部活を辞めようとまで思った。周りの友人たちが優しく励ましてくれる中で、母だけは「努力が足りんかったんじゃないと?」と厳しい言葉をかけてきた。母の言葉はそのときの私には、正論だが、認めたくないものだった。
だが、しばらくして私の涙が止まった後、母はポツリと言った。「泣いてもいいけど、次、どうせなんか考えなんよ。私はあんたの演奏、よかったと思うよ」その言葉でまた涙が溢れた。この言葉に救われ、私は吹奏楽部を辞めることなく、大好きなまま卒業することができた。
今まで生きてきた中で、何度、母の言葉や態度に救われたか分からない。母の強さにも優しさにもまだ敵わないが、少しでも近づきたい。外見だけでなく内面も、母のようになりたいと思う。母はずっと私のあこがれであり、目標だ。