私の家族/可愛いおばあちゃん
私の家族は、88歳のおばあちゃんと同居している。おばあちゃんは誰かの助けがないと、何もできない。だから、毎日お父さんが側にいて、おばあちゃんの介護をしている。
数年前、とても元気だった。お父さんとお母さんが喧嘩をすれば、喧嘩の原因を知らないはずのおばあちゃんが入り込んできて、場の状況を悪化させる。出掛けるときには、お婆ちゃんにどこへ出かけるのかを知らせないと怒り、私の帰りが遅くなると、「こんなに遅くまで出かけて、不良や」と言う。
言ってみれば、かなりの厄介者だった。常に家の中で自分が一番偉いと思っていて、頑固なおばあちゃんなんて早くいなくなればいいのに、とさえ思っていた。
先日、お父さんに頼まれ、おばあちゃんを温泉に連れて行った。おばあちゃんの裸を見て衝撃を受けた。小さい頃に一緒に温泉に行った時のおばあちゃんの裸は、パンパンに大きいお腹、ずっしりとした足。とても迫力があった。しかし、その時に見たお婆ちゃんの裸は、皮膚が垂れ下がり、しわくちゃで伸びきっているお腹、腕と同じ細さのか弱い足。こんなにも人って変わるものなんだ。
おばあちゃんは、恥ずかしそうにバスタオルで体を隠す。「なんで隠すん?」と聞くと、笑いながら「こんな体見せられんわ」と、少し控え気味に言う。今まで弱音を吐かず、意地っ張りだったおばあちゃんが、誰も家にいない日には、「寂しかったよー。こんなに寂しいなら、はよ死んでしまいたい」と言う。耳も聞こえが悪く、会話するのに時間がかかる。なんだかおばあちゃんが、どんどん弱っていくのを感じる。
私は今、おばあちゃんの隣でこの作文を書いている。おばあちゃんはベットに横たわり、私に「歌を歌ってみせて」と、手拍子をしながら言っている。もしかしたら、歳をとるにつれて、気持ちが赤ちゃんに戻っているのかもしれない。今となっては愛らしいおばあちゃん。これからも長生きしてね。